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ベトナムの常識・日本の非常識_vol.14:携帯の写真撮影はシャッター音を消せません

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2021年02月01日

*By KOKORO(毎日新聞社+VAIJなど主催、在ベトナム日本国大使館など後援)
「パシャッ」というシャッター音を立てずに携帯電話で写真撮影をしたり、気軽に学生に話しかけたりすると、日本では思わぬトラブルに巻き込まれかねません。

サイレントモードで写真を撮る

ベトナムでは携帯電話で写真を撮る場合、「パシャッ」と音を鳴らして撮ろうがサイレントモードにして音をたてずに撮ろうが、誰も気にすることはありません。しかし日本では携帯電話で写真を撮っている(らしい)のに何の音もしなければ、どういうことかと不審に思われてしまいます。

日本で購入したiPhoneでは写真撮影のときサイレントモードにできないということを知ると、ベトナム人は皆一様に驚きます。なぜなのでしょうか? 日本では2001年から、盗撮防止のために写真撮影の際に必ず音が出るように携帯電話キャリア(通信会社)が自主規制を始め、携帯電話メーカーもそれに従っているからだそうです。

最初のきっかけは、2000年に日本の著名芸能人が東京都内の駅で携帯電話で女性のスカートの中を撮影しようとしているところを通行人に目撃され、通報されたことです。この芸能人はその後、東京都迷惑防止条例違反(盗撮)容疑で書類送検されました。これをきっかけに当時の携帯電話キャリアの1社が盗撮防止のために撮影時に必ず音が出る携帯電話を売り出し、他のキャリアもそれに従いました。

こういった非倫理的な行為を防ぐため、日本では駅など公共の場所で警告をする以外に、携帯電話については、撮影時に音が出る設定で店頭に並べるようになっているのです。日本で買った携帯電話はサイレントモード時も撮影音が出ますし、その設定は変更できません。

撮影時の音が標準設定されていることで、写真撮影が禁止されている(ことの多い)美術館・博物館、そしてアパレルショップなどでも、もし作品や商品、店内を盗撮しようとした場合に必ず音が鳴ってしまうので、被害を未然に防ぐことができます。ただし、日本でも無音撮影できるカメラアプリはインストールできますので、それを使って盗撮を試みる人は今もいます。

気軽に学生に話しかけてはいけません

昨年のこと。友人が自分の母のAさん(仮称)を、旅行がてら赤ちゃんの世話も頼もうと日本に招待しました。日本に来る前にAさんは日本語会話を受講していたので、少しなら会話ができるようになっていました。

日本に来てからのある晴れた日、Aさんがウォーキングをしていると、下校する小学生の一団を見かけました。このようなときベトナムでは「君たち何年生?学校はどこ?」「お家はどこ?」と気軽に話かけ、数回やり取りするぐらいのことは何でもありません。尋ねたほうも実のところ、子どもたちがどう答えようがあまり関心はないのです。

その習慣のまま、Aさんは校門の前に立っていた児童の1人に、自然といつものように話しかけたのです。しかし、突然話しかけられた児童は顔色を変え、逃げるように校内に戻って行ってしまいました。そして、先生に「突然知らない人に声をかけられた」と助けを求めたのです。先生は急いで校門に向かい、Aさんに(30分あまりにわたって)事情を尋ねました。警察に通報する一歩手前だったそうです。

歩いている子どもに気軽に話しかけると、日本ではこういうことになってしまいます。生徒(と保護者)は安全のために学校の行き帰りのルートなどを学校側に報告しなければなりません。そのためいつもと何か違うことが起これば、今回のように不必要なトラブルを招いてしまうのです。

日本でも昔はこれほどではなかったそうですが、過去に通行中の子どもが誘拐されたり性的被害を受けたりする事例が多発したのと、地域社会が子どもを見守って犯罪から守る機能が低下したため、保護者の自衛意識が高まったという背景があるそうです。特に1988~1989年に東京・埼玉で4人の幼女・女児が連続で誘拐、殺害された事件(犯人の男はその後逮捕され、死刑)などの影響が大きかったそうです。

また、日本人のシャイな性格にも少し関係があります。日本人はプライバシーに対して非常に敏感なので、見知らぬ人に積極的に話しかけたり、助けようと自分から申し出るということがあまりありません。米国人の友人(女性)は電車の乗り降りの際、2つの大きなスーツケースを持って移動していたのですが、誰も積極的に助けようとはしてくれなかったそうです。しかし、彼女の方から「助けてほしい」と願い出ると、通行人の日本人男性は非常に親切に助けてくれたそうです。

「日本人は冷たい」と思う人も多いかもしれませんが、実際は、多くの留学生や技能実習生が親切な日本人たちからサポートを受けています。それを上手に表現できないのが彼らの文化であり精神性なのです。

ホームレスにお金をわたす

ベトナムでは路上生活者(ホームレス)に出くわすことがあります。何かしてあげられないか、という気持ちが湧きおこり、お金や服をわたします。そんなあなたの行動をたまたま誰かが見かけ、それをFacebookなどに投稿し拡散すれば、あなたに続く人が出てくるかもしれません。

しかし、日本では、ホームレスの人々が果たして本当にあなたの助けを必要としているかは定かではありません。日本のホームレスの多くが缶やペットボトルを拾ってお金に換えるなど、生活の糧を得ようと活動しています。また、支援団体から食料や生活必需品の支援も受けられます。

Reddit(アメリカの投稿サイト)上で、あるオーストラリア人が日本人ホームレスにお金をわたそうとしたら拒否されたという体験を投稿しました。その投稿には多くの日本人から書き込みがありました。その多くが「もし彼ら(ホームレス)を助けたいなら、組織的に活動したらどうか」「政府や自治体に許可を取り、食料や生活必需品を提供する場所を作るのがいいのでは?」というものだったそうです。

ホームレスの人たちのために炊き出しを準備する慈善団体

日本人は平等・公平な社会を作りたいと考えていて、それはホームレス問題についても例外ではありません。もし一人だけを助けられたとしても、他の人々についてはどうでしょう?このようなシンプルな考え方ができるのが日本人なのです。

Thach Long

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